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ファンタジーに浸かる

ファンタジー作品や資料についてのブログ。メディアは様々

日本の昔話はやはり日本らしい。『昔話と日本人の心』より

日本人の書くファンタジー……今や王道と言われる物語にも、ふと日本人らしい情緒を感じさせるものが多い。西洋と日本の人間関係がごちゃまぜになっているような、言い知れない雰囲気の作品が、眼を凝らせば点々と……。では日本人らしい話ってなんだろうという疑問が。

 

そんな時に偶然読んだのが『昔話と日本人の心』です。

 

昔話と日本人の心 (岩波現代文庫―学術)

昔話と日本人の心 (岩波現代文庫―学術)

 

 作者は河合隼雄。非常に有名な心理学(ユング派として日本人最初)の方。文学においても心理学の立場から広く分析を行っております。

 

内容(Amazon紹介文から一部引用)

日本人が親しんできた昔話を世界中の物語と比較〔中略〕昔話の深層構造を心理学的に考察することで、意識ー無意識の独特な関係を浮き彫りにし

 

日本人の昔話の特徴を知るには、他の国々の物語と比較すれば分かりやすいですね。

 

一番共感したところは、日本の昔話の終わりは、何もないことが非常に多いということ。他の国々の物語では、宝が眠っていたり、美しい女性を手に入れたりすることが王道なわけですが、日本の昔話にとっては、何もなく、寂しい気持ちになるような終わりが王道と言えるのではないでしょうか。鶴の恩返しなどの、あの儚いラストですね。

 

王道とは何なのか。それを考えてドキドキする私は変人なのでしょうか。そうですね。

 

人々が王道と言っている物語、そしてその物語のルーツとなる昔話には、深層心理からなる無意識が眠っている。確かに、小説家は書いている文章を全て意識しながら書いているわけではない。自然と思いつき、書いた内容に、その人の人生が詰み込まれているとすれば、日本の昔話から日本人の心を見定める試みはとても素晴らしいと思います。

 

今、私が思っているストーリーはどこからやってくる。考えすぎてしまう深い迷宮へ誘う入門書となりました。